幾冊も積み重ねられた黒表紙のダイアリー。撮影のテストポラロイドや、心惹かれた広告の切り抜き、迷い抜いてカスタムしたピストバイクの写真、時には契約書まで——気になるものを無造作にスクラップした断片に、アートディレクターの平林奈緒美さんの日常とインスピレーションが浮かび上がる。何年もの時間を共にしてきたスマイソン。平林さんは「良いものを知る人へこそ」と想いを込めて、ギフトにも選んできたという。ホリデーシーズンに向けて、デザインのプロフェッショナルに聞いた、スマイソンを贈る理由とは。
予定と一緒に
覚えておきたいことを記録。
大判サイズのデスクダイアリー“ポートベロー”に始まり、より手軽な大きさになった“メイフェア”(現在は展開終了モデル)へと、長きに渡ってスマイソンのダイアリーを愛用してきたという平林さん。覚えておきたいことを記録。
「今のように東京で手軽に買える時代ではまだなくて、毎年ロンドンのボンドストリート本店から郵送してもらえるよう顧客リストに登録していました。スケジュール帳は1週間が縦にまとまったレイアウトでないとだめで、ある程度のサイズがあるものを探していたんですよね。“ポートベロー”は、前半がカレンダーで、後半は普通のノートになっていたんです。そのノートの部分に、興味を持ったことや気になるものをメモしたり貼ったりして……一年分のスクラップブックですね。過去のものをわざわざ残しておくタイプではないんですが、その記録があったので、捨てずに残していたんだと思います」
シンプルさと機能性。スマイソンに行き着いた理由は、ほかにもある。
「すごく薄いブルーの紙も好きで。万年筆で書いても滲まないフェザーウェイトペーパーだと聞いて、それならばとスマイソンとヤード・オ・レッドのダブルネームの万年筆も買いました。2000年代のダイアリーには黒や緑、カーキの3色の付箋リボンもついていて、細部までかわいかったんですよね。働き始めてちょうど10年ほど経った頃で、当時の自分にとってはなかなかの出費。でも、毎日使うスケジュール帳に、ちょっと背伸びして分不相応なお金を出す、そんな行為もきっとうれしかった時期だったんだと思います」
色は決まって黒。完売で仕方なくオレンジを選んだ一年をのぞき、黒革にゴールドの縁取りが施された手帳がずらりと並ぶ。
「すごく薄いブルーの紙も好きで。万年筆で書いても滲まないフェザーウェイトペーパーだと聞いて、それならばとスマイソンとヤード・オ・レッドのダブルネームの万年筆も買いました。2000年代のダイアリーには黒や緑、カーキの3色の付箋リボンもついていて、細部までかわいかったんですよね。働き始めてちょうど10年ほど経った頃で、当時の自分にとってはなかなかの出費。でも、毎日使うスケジュール帳に、ちょっと背伸びして分不相応なお金を出す、そんな行為もきっとうれしかった時期だったんだと思います」
色は決まって黒。完売で仕方なくオレンジを選んだ一年をのぞき、黒革にゴールドの縁取りが施された手帳がずらりと並ぶ。
なんでも自分で買える、大人の友人へのギフト。
「いろんなことを気にするのが、本当は面倒なんです」と笑う平林さん。朝の服選びも「理想は、気に入った黒のセットアップを数着そろえて着回すスタイル」で、身の回りにも一度これと決めたものが予備も含めて複数あれば十分だという。ギフトを贈るのも「ほぼ近しい人にだけ」。だからこそ、当たり障りのない品ではなく、喜んでもらえるものをと、スマイソンを選んできた。
印象に残っているのは、ロンドンの本店の地下にあるビスポークで、知人のためにオリジナルの便箋と封筒をオーダーした経験だ。
「ロンドンでの生活を終えて帰国する時、友人へのお土産を悩んでいたんです。スタイリストだからアクセサリーを買うわけにもいかないし、ならばスマイソンでレターヘッドと封筒に名前を刻印してもらおうと考えました。いざお店に行くと、贈る相手や用途を事細かに質問してくれて。小さなサイズの便箋と封筒、二つ折りのレターヘッド、メッセージカードの3種をすすめられて作りました。そのセットを、あのナイルブルーのボックスに入れてくれたんです。私がデザイナーだと話すと、奥からビスポークのアーカイブファイルを取り出して見せてくれたりもして。貝殻をすり潰して刻印した昔の技術も美しくて、忘れられない思い出になりました」
「ロンドンでの生活を終えて帰国する時、友人へのお土産を悩んでいたんです。スタイリストだからアクセサリーを買うわけにもいかないし、ならばスマイソンでレターヘッドと封筒に名前を刻印してもらおうと考えました。いざお店に行くと、贈る相手や用途を事細かに質問してくれて。小さなサイズの便箋と封筒、二つ折りのレターヘッド、メッセージカードの3種をすすめられて作りました。そのセットを、あのナイルブルーのボックスに入れてくれたんです。私がデザイナーだと話すと、奥からビスポークのアーカイブファイルを取り出して見せてくれたりもして。貝殻をすり潰して刻印した昔の技術も美しくて、忘れられない思い出になりました」
黒のトラベルウォレットは
パートナーへの贈り物として。
「私たちはあまり記念日にギフトを贈り合うことはないんです。その代わりに、何かいいものに出合った時に、記念日にこだわらずプレゼントします。トラベルウォレットもかなり前のことですが、自分用に手に入れて、パートナーにも同じものを贈りました。中を開けると、札入れのほかにパスポートやボーディングパスが分けて収納できるようになっていて。当時のものはレザーの種類も違って、刻印もシルバーだったんです。でもやっぱり、色違いではなく二人そろって黒を選ぶから、ウォレットにもカスタマイズでイニシャルを刻印してもらい、どちらのものか区別できるようにしていました」
パートナーへの贈り物として。
友人の結婚のお祝いに贈ったのは、芳名帳として名前を記せるゲストブック。また、ワインに造詣の深い知人には、コレクションを記録できるセラーブックをプレゼントしたこともある。
「セラーブックはワインが大好きな人に。ひと見開きに1本のワインを書き記せて、反対側にはラベルを貼れるようになっているんです。こういうアイテムって自分ではなかなか買わないものだから、喜んでもらえるかなと思って。ロンドンに住む時に、スマイソン特製のロンドンA to Zマップを贈ってくれた友人もいます。書き込みをしてしまうのがもったいなくて、付箋を貼って大事に使っていました。そうやって相手のことを想い、日頃の会話を心に留めて、少しでも喜んでもらえるギフトを選べたら、素敵だなと思います」
「セラーブックはワインが大好きな人に。ひと見開きに1本のワインを書き記せて、反対側にはラベルを貼れるようになっているんです。こういうアイテムって自分ではなかなか買わないものだから、喜んでもらえるかなと思って。ロンドンに住む時に、スマイソン特製のロンドンA to Zマップを贈ってくれた友人もいます。書き込みをしてしまうのがもったいなくて、付箋を貼って大事に使っていました。そうやって相手のことを想い、日頃の会話を心に留めて、少しでも喜んでもらえるギフトを選べたら、素敵だなと思います」
Naomi Hirabayashi|東京生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後、資生堂宣伝制作部に入社。ロンドンのデザインスタジオ〈Made Thought〉に一年間出向し、2005年よりフリーランスのアートディレクター、グラフィックデザイナーとして活動。
GIFT ITEM FOR HOLIDAY
カラフルな機能美に惹かれる
マルチジップケース。
旅の準備をスマートに整えることは、スマイソンの美学のひとつ。空港のカウンターで、あるいは街歩きの途中で。必要なものをストレスフリーに取り出せるのが、マルチジップカレンシーケース。マルチジップケース。
4つのコンパートメントに分かれたポケットは、外貨やレシート、チケットなどを整理して収納できる。カラフルな4色のジップで、ひと目で見分けられる機能性と遊び心を備えたデザイン。上質なクロスグレインレザーは耐久性に優れ、刻印によるパーソナライズもできる。スタイルに合わせて選べる、全8色の豊富なカラーバリエーション。必需品をひとつにまとめてくれるケースは、贈る人にも贈られる人にも、素敵な旅の物語を届けてくれるはずだ。
感謝の気持ちを伝える
スモールレザーグッズ。
大切な想いを託すのに相応しい、タイムレスで洗練されたスマイソンの小物。日々に寄り添うアイテムだからこそ、手にする度に愛着のわく上質なものを贈りたい。いずれも丈夫なグロスグレイレザー製で、パーソナライズの刻印が施せるのでギフトにもぴったりだ。スモールレザーグッズ。
右上のカードケースは、すっきりとシンプルなフォルムに収納力のある二つ折り。スナップボタン付きで開閉もスムーズだ。右下は、スマイソンらしいエンベロープデザインのコインケースをあしらった三つ折りウォレット。コンパクトなサイズ感が使いやすい。中央は、小さなバッグにも収まるサイズのレザーストラップ付きのキーリング。アクセントになる佇まいに、カラーも豊富で10色からセレクトできる。左は、無駄のないスタイリッシュな印象のキーホルダー。スマートキー対応で、安全かつスマートに収納できるのが魅力だ。
旅にも日常にも寄り添う
ソフトレザーのトートバッグ。
19世紀のロンドンで生まれ、多くの旅人に寄り添ってきたスマイソン。モダンで実用的なレザーグッズは、冒険の記録から日常の移動までを支えてきた。ミニマルなデザインが映えるレザートート“キングリー”も、その系譜を受け継ぐバッグだ。ソフトレザーのトートバッグ。
“キングリー”のために特別に開発された、柔らかくしなやかなパビリオンレザーを使用。裏地はスエード仕上げで、ライニングがないため見た目以上に軽量でソフト。くるくるとコンパクトに丸めてスーツケースに収められるので、旅のサブバックとしても最適だ。シンプルでありながら存在感があり、どんなシーンにも似合うトートバッグ。大切な人へプレゼントとして贈れば、使うほどに味わいを増し、きっと長く寄り添うパートナーになってくれるだろう。
direction: &Premium photo : Masahiro Sambe edit&text : Aiko Ishii












