一冊の手帳を使い始めるときには、少しだけ背筋が伸びる。ましてそれが、ずっと憧れていたスマイソンならなおさらだ。スタイリストの岡尾美代子さんが初めてその存在を知ったのは、まだ雑誌の編集部でアシスタントをしていた1980年代半ば。以来、ダイアリーやアドレス帳、旅の記録を残すノートなどさまざまなアイテムを手にしてきた。長年大切にしてきた私物を広げながら、ダイアリーと共に重ねてきた時間、その記憶をたどった。
憧れから始まった
毎年の一冊。
「まだアドレス帳を持っている時代で、編集部の先輩たちがスマイソンを使っていたんです。それがすごく素敵で、憧れでした」毎年の一冊。
最初にロンドンを旅したときにはまだ買えず、二度、三度と訪れるうちに、ようやく思い切って手にしたという。そして、いつしか毎年使うようになったのがダイアリーだった。
「ロンドンを訪れると店に寄って、次の年の一冊を選ぶんです。旅の目的のひとつというか。高級感のある店構えで足を踏み入れるのにも緊張したけれど、ダイアリーを選んで、表紙にイニシャル“M.O”の刻印をお願いして、出来上がったものを受け取る。その一連の時間も含めて楽しみでした」
TRAVEL JOURNALやポケットタイプのワインノートなど、今も手元には少しずつ集めてきたスマイソンが残る。
なかでも思い出深い2冊がある。茶色のスマイソン特製のLONDON A to Zマップと、ナイルブルーのカバーにシルバーで岡尾さんの名前を刻印したノート。
「編集部の先輩は茶色のダイアリーを使っていたんですよね。同じ色のマップを店で見つけて手に入れたんですが、もったいなくてなかなか使えなくて、綺麗なまま。私も最初の数冊はこの茶色を選んでいて、その後、自分にはネイビーがいいかなと思って、ダークネイビーに落ち着きました。ナイルブルーのノートは、元アシスタントの出産祝いのお返しでいただいたものです。『なんと立派な!』と驚いたんですが、名前まで入れてくれていて。刻印って、ここに何を入れようとまず考えますよね。だから、相手のことを思った贈り物なんだなというのが伝わってきて嬉しかったです。秘密のノートとして大切に使っています」
「編集部の先輩は茶色のダイアリーを使っていたんですよね。同じ色のマップを店で見つけて手に入れたんですが、もったいなくてなかなか使えなくて、綺麗なまま。私も最初の数冊はこの茶色を選んでいて、その後、自分にはネイビーがいいかなと思って、ダークネイビーに落ち着きました。ナイルブルーのノートは、元アシスタントの出産祝いのお返しでいただいたものです。『なんと立派な!』と驚いたんですが、名前まで入れてくれていて。刻印って、ここに何を入れようとまず考えますよね。だから、相手のことを思った贈り物なんだなというのが伝わってきて嬉しかったです。秘密のノートとして大切に使っています」
来年には140周年を迎えるスマイソン。原点のひとつであるパナマダイアリーは、英国の旅行者たちに好まれたパナマ帽になぞらえて、“本のパナマ帽”とも呼ばれた長く愛される存在。今もスマイソンを象徴するアイテムだ。しなやかなパナマレザーに、薄く軽いペールブルーのフェザーウェイトペーパー。岡尾さんも、その佇まいと使い心地に惹かれたという。
「デザインや紙、レザーの質感や手触りも含めて、すべてが好きでした。美しいブルーの箱にグログランのリボンがかけられているところも。特に、ダイアリーを開いたときの水色。この紙には青いインクが似合うと思って、慣れないのに万年筆で書いたりして失敗もいっぱいしましたけど(笑)。見開きで1週間を見られるのも便利ですよね。1日ずつだと前後の予定が把握しづらいけれど、1週間が見渡せるのが良かったんです」
「デザインや紙、レザーの質感や手触りも含めて、すべてが好きでした。美しいブルーの箱にグログランのリボンがかけられているところも。特に、ダイアリーを開いたときの水色。この紙には青いインクが似合うと思って、慣れないのに万年筆で書いたりして失敗もいっぱいしましたけど(笑)。見開きで1週間を見られるのも便利ですよね。1日ずつだと前後の予定が把握しづらいけれど、1週間が見渡せるのが良かったんです」
Miyoko Okao|高知県生まれ。緑に囲まれた鎌倉の一軒家で、保護猫のトキオくんと暮らす。雑誌や広告などのスタイリングを手がけるほか、旅や雑貨にまつわるエッセイも執筆。『&Premium.jp』ではトキオくんとの日々をコラムに綴り、『フィガロジャポン』では「岡尾美代子の雑貨ヘイ!ヘイ!ヘイ!」を連載中。著書に『センスのABC』(平凡社)など。
THE DIARY COLLECTION
一年を照らす
ゴールドの星空。
夜空に星をちりばめたような、スターコレクションのダイアリー。金と銀の箔で描かれた星は、熟練した職人がひとつずつ手作業で刻印したもの。わずかな揺らぎが表情となり、手仕事によるオーセンティックな輝きを生み出している。2027年は、すべてのダイアリーに“140th”と記され、アニバーサリーイヤーならではの一冊に。新たな一年の願いを、星の瞬きに託してみたくなる。
ゴールドの星空。






